最近、大学院の課題・レポートに追われる日々な毎日の中で、学校の同級生からオススメされた書籍が目からウロコだったので、紹介します。
書店にありふれた単純な”自己啓発本”って訳ではなく、人の生産力や思考法をスッキリとさせるアプローチを細かく説明されていて、非常に楽しく読破できる本だと思います。
是非、興味があれば読んでみてください。
はじめに:何を考えるか、より前に「それって考える価値あるの?」

Gerd AltmannによるPixabayからの画像
「考えてるんですけど、答えが出なくて…」
「ずっと悩んでて、どう進めたらいいかわからなくて…」
そんな風に頭を抱えたこと、ありませんか?
私自身、大学院での課題や研究テーマに向き合う中で、「ずっと考えてるのに進まない」という感覚を何度も経験してきました。
でも、それって本当に「考えていた」のか?
――そんな根本的な問いを投げかけてくれたのが、安宅和人さんの『イシューからはじめよ』でした。
読後に残ったのは、次のような強烈な自問でした。
「あなたは、本当に“考える”という行為をしていたのか?」
これまで“努力”や“学び”と信じていたものの多くが、ただの自己満足で非生産的な活動だったのでは…と気づかされ、目が覚めるような一冊でした。
「悩むこと」と「考えること」はまったく別物だった
本書の中で、最も印象的だったのはこの一節。
「悩むこと」と「考えること」は違う。
悩んでいる状態って、要は「解けない問題」に対して、堂々巡りしているだけ。
しかもその問題は、たいてい「今、自分が本当に解くべき問い(イシュー)」ではなかったりするんです。
✔ イシューとは?
本質的で、かつ、答えが出ると前に進める問い。
この定義を見た瞬間、私の思考パターンがいかに曖昧で非効率だったか、痛感しました。
ただ悩んでいるだけの時間は、生産的な思考ではない。
今まで「悩んでいる=深く考えている」と思っていた自分を、そっと脳内で反省しました。
イシューは分解できる:「Sub-Issue」の技術

Dmitry AbramovによるPixabayからの画像
本書で得たもう一つの大きな学びが、「問いを分解する力」です。
大きな問いに立ち向かうのではなく、Sub-Issue(副次的な問い)に分解していく。
それによって、思考の霧がどんどん晴れていく感覚がありました。
✔ たとえば研究の場合…
私の研究でも「〇〇の地域定着をどう促すか?」という問いに対して、
- そもそも定着とはどういう状態か?
- なぜ離れていくのか?
- 定着の要因にはどんな変数があるか?
といった小さな問いに分けていくことで、アプローチが具体化し、一歩踏み出すことができました。
「考えても無駄な問題」は、捨てていい
この本で個人的に最もハッとした部分が、こちらの視点です。
考えても答えが出ない問題は、諦めろ。
正直、目からウロコでした。
「難しい問題にこそ、立ち向かうべき」と思っていた私にとって、この言葉は衝撃でした。
けれど、振り返れば「そもそも定義が曖昧」「判断材料が揃っていない」ような問題に、時間を吸い取られていたことってよくあるんですよね。
思考のリソースは有限。
解ける、かつ、解く価値のある問題に集中すべき。
その潔さに、感銘を受けました。
「考える」という行為にも、選択と戦略がいるのだと改めて気づかされました。
まとめ:「生産的に考える」とはどういうことか
『イシューからはじめよ』は、思考の技術書というより、知的スタンスの指南書でした。
- 自分の思考を「イシュー」からはじめる。
- 問題を分解して、解ける問いに絞る。
- 解けない問いは、勇気を持って切り捨てる。
こうしたシンプルで強い姿勢は、学習や研究、そして仕事のどの場面でも活きてきます。
「それ、本当に解くべきことですか?」
この問いを、自分にも、周囲にも投げかけ続けること。
それこそが、生産的な活動の第一歩なんだと思います。
📝この記事のまとめポイント
- 悩むこと ≠ 考えること
- イシューは「本質的かつ答えが出ると前に進む問い」
- 思考は「問いを立てる」ところから始まる
- Sub-Issueへの分解で、思考の霧が晴れる
- 解けない問題は捨ててOK。思考のコスパを大事に