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今回は調達マネジメントで定義される、契約形態について解説。
以前、調達プロセスの「ADR(代替え紛争解決)」について解説した投稿については、下記を参照のこと。
転職リベンジ – PMP編(第7版) – その2 調達プロセス ツール “ADR”について解説!
調達プロセスにおける契約とは?
調達プロセスでは、プロジェクトに必要な商品やサービスを提供するための契約を結ぶ際に、選択できるさまざまな契約タイプが存在する。契約タイプは、プロジェクトの性質・リスク・関係者の要件に応じて選択することになる。
契約タイプを把握しておくことによって、プロジェクトにあった投資効率を上げる事が出来る。プロジェクトの投資対効果を考える上で非常に重要な知識になる。
契約タイプについて解説
調達プロセスで定義される主要な「契約タイプ」4つを解説する。
- 価格と納期が事前に合意され、契約の対象物が完成するまで価格が変更出来ない契約になる
- 適用シーンとしては、「プロジェクト・スコープ」が事前に十分に定義されていて、変動リスクが低い場合に採用
- 完了した作業にかかった正当な実コストに対して、納入者の利益相当分を上乗せした金額を支払う方式
- プロジェクトのリスクが高い場合、スコープが不明確な場合に採用する
- この際、コストと納入者の利益関係の透明性の確保がポイント(変な利益供与にならないように…)
- 納入者に提供されあt時間と使用された資材(素材やリソース)に基づきて料金が支払われる契約形態
- 実施償還契約と定額契約の両側面を合わせた様な契約形態
- スコープが不明確、変動リスクが高いプロジェクトに対して、「要員の補強」や「専門家の調達」「外部からの支援」の発生が見込まれる場合に採用されるケースが多い
- 日本国内の「準委任契約」や「SES契約」と同義
- 納入者に提供された「単位(ユニット):Unit」単位で価格が設定される
- プロジェクト内で標準的なアイテム・サービスが必要な場合を想定
- 単位の価格が事前に合意され、必要数が予めある程度判断が付くような対象に対して採用する契約
- 納入者をプロジェクトの成功に注力させ、コストを効果的に管理するためのインセンティブを定義する契約
- プロジェクトが特定の成功要素を達成する場合、納入者は報酬を受け取れるといった仕組み
- 成功要素(報酬となる基準)が明確になっている場合に採用
- 特定のプロジェクトやサービスに対する契約が、一定の期間内で何度でも更新継続できる契約形態
- プロジェクトの継続的な必要性がある場合や、納入者と長期的な関係を築く場合に採用する。
- 期間が事前に定義されている固定期間契約とは異なり、芥屋区の有効期限が開始時点から何度でも変更・更新が可能な柔軟な契約形態
- プロジェクトの変更や新しいNeedsに対応する為に便利な契約
例題
ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、急遽 計画外の機能の追加実装が必要になってしまった。追加する該当作業の内容については、具体的な要件・仕様を早急に固める必要はあるものの、プロジェクト納期は延長することは出来ない為、早急に外部要因を調達する必要がある。
この際の納入候補業者と協議を進めるに当たって、適切な契約タイプを以下から選択せよ。
1) コスト・プラス・インセンティブフィー契約
2) 定額契約
3) タイム・アンド・マテリアル契約
4) オープン・エンド契約
正解は、「3) タイム・アンド・マテリアル契約」となる。
設問を読むと以下の条件が確認出来る
1. 納期は延長出来ない
2. 具体的な要件・仕様はまだ決まっていない
3. 緊急性が高い
上記特徴を勘案すると、3) の 正確なスコープの定義が難しく状況に対応出来る契約形態が妥当だと判断出来る。
まとめ
契約タイプは上記の通り多種・多様なものがあり、同じ様に見えて細かな点に違いがある。
プロジェクトの投資対効果の最大化を考える際、必要とする場面を想定して、もっとも効果や投資リスクが発生しない契約タイプを判断する為には、解説の契約タイプは把握しておく必要がある。
おしまい。