転職リベンジ – PMP編(第7版) – その12 リスク評価の評価結果を可視化する技法について解説!

Gino CrescoliによるPixabayからの画像

今回はリスク評価の手法と、その可視化について解説していきます。

リスク評価の位置づけ

リスク評価は、PMBOKの知識エリアでは「リスク・マネジメント」に分類されるエリアの知識

プロジェクトに関するリスク・マネジメントは以下の流れになる。

  1. リスクマネジメント計画の策定
    リスクの対応方針を明確にしておく。PJの初期段階なのでリスクの詳細な特定は無理。あくまでも方針を決めておくことが重要
  2. リスクの特定:
    プロジェクトを進める上で発生しうるリスク(不確実な事象)を洗い出しておく。洗い出した内容は「リスク登録簿」に記録し、その先のリスクの評価対象から抜けもれなく評価出来る状態にしておく。
  3. リスクの分析・評価:
    洗い出されたリスクに対して定量的/定性的評価を行い、具体的な対応方針を決められる様にしておく。
    また、リスク評価後には各リスクの優先順位付けが行われる。
  4. リスク対応計画:
    洗い出されたリスクと対応策について、具体的に誰が何を対応するのか?を事前に決め、関係者と共通認識に出来るように計画書に記載しておく。
  5. リスク対応策の実行:
    リスク発生前に実施しておく対策を、リスク対応計画に則ってアサインされたメンバーが実行していく。
  6. リスクの監視:
    事前のリスク分析で洗い出されている「リスク」に対して監視、または新たなリスクの発生を特定・分析・評価、現状のリスク対策の有効性を検証し続けること。プロジェクトが終わるまで、ずっと続く活動。

リスク評価の手法

リスク評価の手法として、代表的な物を以下に列挙する。

定性的リスク評価

専門家判断:
プロジェクトの専門家が経験と専門的知識・経験に基づいて、リスクを評価する。

デルファイ法:
複数の専門家が匿名でリスクを評価し、合意に達するまでリスクに関する評価を繰り返す。

定性的リスク評価

モンテカルロ法(モンテカルロ・シュミレーション法):
リスク要因の確率分布を使用して、プロジェクトの成果に対するリスクを数値的にモデル化し評価する。

感度分析:
特定の変数がリスクにどの様に影響するのか?を評価し、最も影響を受ける要因を特定する。

リスクの可視化手法

単純に、リスクが高い・低いと言葉で表現したとしても、その中身を正しく把握していなければ、なかなか共通認識を持ってもらえないケースが多い。

またリスクが膨大に上がった場合、リスク評価もより定量的な評価が求められたりする。その場合、リスクの評価指標(影響範囲・影響規模などなど)を数値化し可視化することによって、プロジェクト全体的に俯瞰したリスク評価が行える。

以下に、リスク評価結果を可視化する技法を6つ紹介する。

リスク マトリックス:
リスクの発生確率と影響を組み合わせて、リスクを視覚的に表現する手法

参考:Wikipedia

バブルチャート:
リスクの重要性を視覚的に表現。バブルの位置は、リスクの発生確率と影響、バブルの大きさはリスクの重要度を示す

トルネード図:
リスクの影響を視覚的に表現する。バーの長さを使用して、リスク要因をランク付けし重要なリスクを特定するのに利用

ヒートマップ:
リスクの発生確率と影響を色を使って視認しやすく表現

リスクピラミッド:
リスクを階層的に表現する手法。高レベルのリスクから詳細なリスク要因へと展開される。ピラミッドの上部には高いレベルのリスクがあり、下に行くほど細分化された詳細なリスク要因が示される。

ガントチャート:
通常、プロジェクトの日程などを示す為に使用されるが、リスク評価の結果を統合し、リスクに関係するタスクや期間を視覚的に利用する場合にも用いられる。

例題:

プロジェクトのリスクマネジメントにおいてリスク評価を行う際、関係者の共通認識を高めるために、リスク評価内容の可視化を行うこととなった。以下の選択肢で、リスク評価の可視化に用いる技法として適さない物はどれか?

1) トルネード図
2) ヒートマップ図
3) ガントチャート図
4) セイリエンス・モデル

正解は「4)」となる。
1)~3)は上記で紹介した通り、リスク評価内容の可視化に用いられる技法。対して4)は 「突出モデル」と呼ばれるステークホルダーを権力・緊急度・正当性で評価分類する分析モデルであり、設問と関係がない。

まとめ

PMにとって、リスク管理とリスク対処法の計画化は、プロジェクトを進めるのに超重要な項目になる。 リスクが課題に昇華しなように、リスクの監視と事前対策は、事前にどれだけ考えられているか?でプロジェクトの成功確率が大きく変わってしまう。

抜けもれなくリスクを洗い出し適切な評価のもとに対策を検討し、なおかつ特定したリスクと対応策の妥当性を関係者で共通の認識を持っておくことが重要。

PMPの試験に限らず、実際のプロジェクトでも十分に活用できる内容なので、ぜひ実践してみて!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA